わたしたち山形村短角牛肥育部会は、文字通り短角牛の肥育を行う生産者のグループです。
肉用種の生産者は、主に繁殖と肥育に分かれるものですが、わたしたち山形地区では、肥育と繁殖を一貫しておこなっている生産者が多いのが特徴です。いわば牛の自給自足というところでしょうか。これは、古の在来種である南部牛の時代から牛を飼い続けた地域ならではと言える特徴です。こうした伝統のなかでわたしたちが取り組んできたのが短角牛本来の能力を生かす肥育スタイル。霜降り肉を求める黒毛和牛とは異なる健康的な赤身肉の素晴らしさをより高める肥育方法を常に追い求めています。

牧場にて  新岩手くじ短角牛肥育部会 中屋敷稔

繁殖と肥育で連携して「山形村短角牛」を育てる

同じ山形地区には繁殖を専門的に行う生産者もいて、肥育農家は競りなどを通じて繁殖農家から子牛を購入しています。山形地区では「山形村短角牛」のブランドをさらに高めていくため、繁殖と肥育の農家が連携を取りながら、健康的で美味しい短角牛を育てる工夫を続けています。

「山形村短角牛」の由来

久慈市で育てられているのに牛の名前は「山形村短角牛」。理由は、わたしたちが暮らす地域が「山形村」だったことに由来しています。久慈市に合併したのは2006年のことで、当時は約3000人の小さな山里でした。この山形村時代に村の産業として育まれてきたのが短角牛の繁殖と肥育。わたしたち肥育部会も山形村時代からずっと続いてきた生産者グループです。久慈に合併してから10年以上になるいまでは「山形村」を目にする機会はずいぶん減ってきました。でもだからこそ、わたしたちが育てている短角牛に付けられた「山形村」という名の大切さを感じずにはいられません。わたしたちはこれからも私たちの故郷である「山形村」の記憶を大切にしながら短角牛を育てたいと思っています。

全国各地の農業や漁業の現場で高齢化の問題が取りざたされています。それは山形村短角牛の生産の現場でも懸念となってきました。体の小さなメスでも体重が500kgにもなる短角牛を相手にする仕事は体力勝負。いくらベテランの生産者であっても、高齢となると厳しい重労働です。しかし、わたしたちは代々受け継がれてきた短角牛との生活を守るため、消費者の皆さんに理解をいただきながら、「山形村短角牛」のブランドを高める活動を続けてきました。とくに近年では肥育部会の若手が中心となって「おれたちが短角牛を引っ張っていく」という信念で、短角牛の美味しさと素晴らしさを伝えるアクションを活発におこなっています。これからの若手の活動にご期待ください。

家族とともに

山形村短角牛の牛舎で働くのは、おじいさん、おばあさん、息子にお嫁さんと家族全員。早朝から夜まで様々な仕事がありますが家族全員で分担しながら牛の世話を続けています。牛もまた家族の一員です。

 

 

牛小屋は子供たちの遊び場

牛小屋は家族が働く場所であると同時に子供たちにとっては大切な遊び場。「モウモウ」とよく響く牛の声を聞きながら遊ぶ毎日です。こうして世代を越えて牛とともにある暮らしがつながっていきます。

山形村短角牛の飼育現場では、国産飼料だけで飼育する「That’s国産」という取り組みを長く続けてきました。夏山冬里という四季のリズムに沿って飼育する短角牛だからこそ、本当に安全で健康的な美味しさを届けたい。その思いがこの取り組みを実施するきっかけとなりました。2011年には東日本大震災が起き、国産飼料の入手困難が起きるなどの問題もありましたがその信念を曲げることなく、国産飼料にこだわった飼育を続けています。
夏は、山に放牧するため牛舎での仕事は減りますが、その代わりにわたしたちを待っているのが冬の飼料作り。乾草やデントコーンサイレージなどの飼料はそれぞれの生産者ができるだけ自給し、安全な飼料で健康的な飼育を続けています。

冬の食事は発酵食品

冬の牛舎で与えられる飼料の中心となるのがデントコーンサイレージ。飼料用トウモロコシを粉砕し、乳酸発酵させたもので、栄養価に優れ、高カロリーな飼料です。ここに自家生産の大豆などを加えることで寒い冬を乗り切るために必要な栄養たっぷりな飼料となります。
 

牛本来の力を高める

山形地区では、子牛の繁殖農家と連携しながら肥育を行なっているため、子牛たちも国産飼料で育てられています。また、抗生剤といった薬物の投与も基本的には使わず、風邪ひきなどの症状から必要となった場合であっても最小限にとどめています。わたしたちは牛が本来持っている体力や自然治癒力を大切にしています。